第39回講演会「人間感覚計測とモノづくり」

 適切な量を適切な精度で計測することは,モノづくりの様々な局面において最重要なことの一つであることは言うまでもありません。衣服の風合いや着心地といった本来数値化し難いものについても,それを数値化・客観化し,モノづくりに活かそうという試みが行われてきました。しかし,人間の様々な感覚に関係する材料の物性を見極め,それを定量的に計測することには特有の困難さが存在し,その解決は重要な課題であり続けています。また,近年では生体情報を正確にかつリアルタイムで計測する技術が急速に進展し,それを活かした製品開発も活発に行われています。
 今回の講演会では,人間の感覚計測およびそれに基づいたモノづくりに関わっている大学および企業研究者を講師にお招きし,感覚計測とそれを利用したモノづくりに関する現状と最近進展を紹介いただきます。

日時:2018年11月8日(木) 13:30〜
会場:大阪市立大学梅田サテライト ホール

参加費:
支部会員 5,000円,非支部会員 7,000円,
学生   2,000円

申し込み・問い合わせ先:
プラスチック成形加工学会関西支部事務局
竹下宏樹(滋賀県立大学工学部材料科学科)
tel: 0749-28-8356, e-mail: event2018@jspp-kansai.jp

銀行振り込み:京都銀行下鴨支店,普通預金 口座番号「3114793」,
名義「プラスチック成形加工学会関西支部」
※当日会場でお支払い頂いても結構です。

井上真理(神戸大学大学院)
「感覚計測~着心地の客観評価を中心に~」
衣服の着心地の良さには、人間の生理的・心理的快適性が大きくかかわります。ここでは生理的な快適性にかかわる「温熱特性」、「動きやすさ」、「風合い(触感)の良さ」を取りあげます。「温熱特性」には衣服と肌の間の衣服内気候が、「動きやすさ」には衣服材料の伸縮性との関係から衣服圧が、「風合いの良さ」には微小変形下での衣服材料の力学特性と表面特性が関わっており、これらの特性から実験的、理論的に解析し、着心地の良さをもたらす製品設計へと導く研究手法についての概要をお話します。

森本翔太(東洋紡株式会社)
「伸縮性に優れたフィルム状導電性素材を用いた生体情報計測ウェア」
スマート衣料の電極・配線材料としてストレッチャブル導電フィルム“COCOMI”を開発した。“COCOMI” は、容易に生地に積層でき、薄くてやわらかく伸縮性に優れているため、これを用いたスマートウェアは、体の伸びに追随し、着用者に自然な着心地を与えることができる。本講演では“COCOMI”を用いたスマートウェアによる心電図計測、呼吸計測事例を中心に、そのアプリケーションついて紹介する。

西脇剛史(株式会社アシックス)
「Human Centric Scienceに基づくモノづくり・ことづくり」
人が身に着けるモノを設計する場合、その評価は着用者の応答を基にしたパラメータを適用することが必要不可欠となる。本報告では、スポーツシューズやウエアにおける設計において、人の感覚に対応する定量的な評価パラメータの導出例を、実設計例と共に紹介する。さらには、正しくスポーツ用品を選んでいただくために開発した、ことづくりについても報告する。